2016年12月19日
家族が納得する遺言書の書き方

家族が納得する遺言書の書き方

遺言書で骨肉の争い、というと大富豪の妻や子どもたちが言い争うドラマのような場面を想像する人が多いはず。しかし現実の裁判所で争っているのは、1/3以上が相続税を払う必要のない家族だ。自分の死後に家族がもめないようにする遺言書の書き方はないのか。弁護士に教えてもらった。

「争続」になりやすいのは遺産価額が5000万円以下

下記は平成27年度の遺産分割裁判数を、遺産価額の割合で示したもの。1000万円以下が約32%、1000万円〜5000万円以下が約44%で、合わせると約76%を占める。ドラマで争われるような資産家ではなく、いかに少額でも争いが発生しているかがわかるだろう。

「争続」になりやすいのは遺産価額が5000万円以下
【図1】遺産分割裁判の遺産価額別の割合
そもそももめるポイントは何か。横山弁護士によれば主に以下の要因が考えられるという。  
  1. 1.そもそも遺言書がない  
  2. 2.過去の恨み・つらみが吹き出す(ex.兄は大学へ行けたのに弟は行けなかった)  
  3. 3.相続人の配偶者の気持ちが出てきやすい(ex.長男の妻として最後まで面倒を見たのに、均等割は納得がいかない)  
  4. 4.業績が芳しくない事業の相続  5.隠し子など、相続人の知らなかった家族がいる

健康なうちに家族と相続を話し合っておくことが重要

では、もめないように遺言書を書くにはどうすればいいだろう。上記のうち、1はたとえ遺産が少額だとしても遺言書を残すことにつきる。そもそも「民法は、被相続人の意思を尊重します。そのため形式的、画一的な法定相続分による配分よりも、各相続人の実情に即した合理的な配分を期待しているのです(民法902条、同908条、964条)。その合理的な配分を行う方法として、遺言書があります」と横山弁護士。つまり尊重すべき意思=遺言書がなければ、パイロットのいない飛行機のようなもので、ふらふらと揺れてもおかしくないのだ。

また2と3は、ひと言でいえば「公平感のある遺言書」ということになる。しかし「公平感」は受け取る立場によって異なるので注意が必要だ。例えば一見順調そうに見えても実は子どもの教育費で家計が火の車というように、離れて暮らしていると子ども世帯の状況を見誤ってしまうケースもある。こうしたことを防ぐためにも、生前にある程度家族と話し合っておいたほうがいい。そうすれば遺言書だけでなく、直接本人の意思を伝えやすくなるため、トラブルを未然に防ぎやすい。

4もまた、生前に「この先事業はどうするか?」を生前に話し合うことが大切だ。業績が芳しくないなら借り入れも起こせないし、事業を相続した人以外に代償金を払うと運転資金が回らなくなって倒産する危険もある。事業を相続する人も含めて家族全員で事業の将来について話し合うようにしよう。

同様に、5も生前にすべての家族に伝えておくこと。言いにくいからといって黙っていると(あるいは疎遠だからと伝えないでおくと)、争続の火だねとなる。

家族を思えばこそ、今できることを!

このように「生前に話し合う」ということが、もめない遺言書を書く上でとても大切だということだ。遺言書で初めて相続内容を知ることになるから、もめ事が起こりやすくなる。本人としては嫌かもしれないが、生前に家族と話をしておくことで、「争続」を防ぐことができる。

それもなるべく元気なうちに話し合いをすることをオススメする。病気になると気も弱くなり、ついあっちにもいい顔、こっちにもいい顔をしてしまいがちになる。すると相続人もあらぬ期待をしてしまうので遺言書を見たら「あれ?」となりがちだ。いつかは書かなければならない遺言書。早め早めの行動が財産を遺すこと以上に家族にとってはうれしいことになる。

取材・文/籠島康弘 ぴえいる工場 取材先/弁護士 横山宗祐さん(横山山王法律事務所) 写真/PIXTA

 

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