2017年1月6日
ペットは相続財産を受け取ることはできる?

ペットは相続財産を受け取ることはできる?

最近は子どもより数が多いといわれているほど、ペットが人気。特に一人で暮らしている高齢者にとってペットはかけがえのない家族の一員で、人生の最後をともに過ごしたペットに、何か残してあげたいと思う人もいるだろう。ではどうすればペットに遺産を残せるのか。その方法を調べてみた。

ペットに“相続”させる方法は二つある

6年前、アメリカで資産家が飼っていたチワワのコンチータに約2億7000万円という莫大な遺産を残したことで、資産家のひとり息子が訴訟を起こして話題となった。ペット愛好家としては、コンチータに遺産を残した資産家の心情に共感を覚えるかもしれないが、残念ながら日本ではペットが遺産を相続することは認められていない。

ペットは動産の扱いとなり、遺産の一部となる。ではペットの相続価額はというと、相続時点での売却価格(購入価格ではない)で決められる。古代魚のアロワナなどは、資産価値が高いと定評があり、相続財産にカウントされることもある。また成長すると価値が上がる動物などはそれなりの金額になる可能性はあるが、例えばどんなに血統がよくても去勢された成犬であれば、価格は期待できないだろう。30万円以下ならたいてい家財一式扱いになる。いずれにせよ、生前に何も手を打たなければ相続人の一人が引き取り、そのあとペットがどうなるかはわからない。

では、自分の死後、ペットに幸せな生涯を送ってもらいたいときはどうすればいいのか。その方法は大きく分けて二つある。方法は、相続と遺贈があり、遺贈は相続人でも他人でも問題ない。相続人にペットを相続させるなら、相続のほうが簡単だ。この場合は条件を付けるから「負担付遺贈」である。遺言でペットの相続人を指定し、受遺者にペットを養うための遺産を与えるというものだ。もう一つはペットの信託だ。これは、委託者(ペットの飼い主)と受託者が「委託者の死後にペットの面倒を見る」という契約を結び、養うための遺産が受託者に支払われる。このとき受託人は個人でも団体でもいい。また受託者本人が実際の面倒を見ずに、別の人に代行させることもできる。

a%c2%83%c2%98a%c2%82%c2%9aa%c2%83%c2%83a%c2%83%c2%88e%c2%b2-ae%c2%8b%c2%85a%c2%98e%c2%81oe%c2%88
a%c2%83%c2%98a%c2%82%c2%9aa%c2%83%c2%83a%c2%83%c2%88ae%c2%a8%c2%97

どちらの方法にも注意すべき点がある

ただし、どちらの方法にも気をつけるべき点がある。まず負担付遺贈は、受遺者に指名された人が遺贈を放棄することができる(このときペットだけを放棄することはできず、他の財産も放棄することになる)。また受遺者が仮にその後自己破産した場合、遺贈でもらった財産が債権者に没収されてしまい、ペットを養うどころではなくなる可能性もある。

一方のペットの信託は「契約」なので、負担付遺贈のように遺贈を放棄されることがない。また遺産も「信託遺産」として保護されるため、受託者が自己破産しても遺産を誰かに持っていかれることはない。これらはペット信託のメリットだ。

ただし負担付遺贈もペットの信託も、きちんとペットの面倒を見てくれるかどうかはわからない。極端な話、遺産をペット以外の私用に使う可能性だってある。それを防ぐためにも監視者として負担付遺贈なら遺言執行人を、ペット信託なら信託監督人を置き、それらの人にペットがきちんと養われているか監督してもらうようにしたほうがいい。

さらにペット信託の場合は、受託者と別に実際に飼う人を用意してもらい、実際に飼う人は一括でお金をもらうのではなく、実際にかかった費用を領収書ベースで受託者に請求する仕組みにすると、遺産を使い込むといったモラルハザードを防ぎやすい。

a%c2%83%c2%98a%c2%82%c2%9aa%c2%83%c2%83a%c2%83%c2%88ae%c2%a8%c2%97i%c2%bc%c2%91i%c2%bc%c2%91

どれくらいの財産を遺すかというのも課題

それ以外にも、ペットに遺産を残すにはまだまだクリアすべき課題がある。例えばペットが病気になったりけがをすれば治療費がかさむ。また他人に危害を与えた場合は賠償金等が発生することも考えられる。その際の費用をどう計算して残せばいいのか。こうしたケースに備えて、ペット保険に加入するための費用も見ておいたほうがいいだろう。

またペットの信託では、上記のような場合も含めて、何が起きたらどう対処するのかを契約書に記しておく必要がある。例えばペットが亡くなってもまだ財産が残った場合どうするのか、ペットがクルマにはねられて事故死した場合に裁判を起こしてまで争うのか、その費用は?…。契約書に書かれていないことは、基本的に受託者は遂行する義務はない。

ペットの信託はまだまだ始まったばかりで、現在までの事例から不測の事態をすべて想定するのは難しいかもしれないが、委任者の意思をできるだけ尊重しようと頭に汗をかいてくれるような個人や団体を見つけることも、ペットの信託を行う場合は大切になる。もちろん負担付遺贈も同様だ。

ペットの信託はまだまだ始まったばかりで、現在までの事例から不測の事態をすべて想定するのは難しいかもしれないが、委任者の意思をできるだけ尊重しようと頭に汗をかいてくれるような個人や団体を見つけることも、ペットの信託を行う場合は大切になる。もちろん負担付遺贈も同様だ。

またどちらの方法でも、相続人たちが遺言ではじめて知ったとなると「なんでペットに遺産を…」と、先のコンチータ問題で訴訟を起こしたひとり息子と似たような感情を覚えるかもしれない。 

生前に誰にも言わずに遺産を残すと、争いの火種になりがちだ。びっくりさせていいことは何一つない。

取材・文/籠島康弘 ぴえいる工場 取材先/税理士 横山雄介さん(税理士法人エム・エム・アイ) 写真/PIXTA

 

合わせて読みたい 相続Q&A

スーモ相続 編集ディレクター
相続についてもっと知りたいなら

関連する対策タイプ

遺言・相続Q&A

親子で相続対策を進めるために

家族の連絡帳

家族の連絡帳
年齢とともに心配になる親のこと。親も子世帯の経済面や暮らしを気遣っています。
「家族の連絡帳」をプリントアウトして、書き出すことから親子のコミュニケーションを始めてみませんか?親子がよく話し合うことでそれぞれの悩みが解決するかもしれません。
実家の相続対策を詳しく紹介

「親と実家」を考える本

表紙サンプル
表紙サンプル
目次サンプル
実家の相続対策に役立つ

カタログ請求のご案内

建築会社や不動産会社が作成しているカタログは、商品やサービスの紹介だけでなく相続にかかわる一般的な知識も得られるものもある。無料で請求できるので、会社名やカタログ名で気になるものがあれば取り寄せて、プラン選びに役立てよう。
※こちらのサイトで紹介しているカタログは『「親と実家」を考える本』にも掲載されています。下の『「親と実家」を考える本』のカタログ請求画面から、お好きなカタログをご請求ください。