2016年12月27日
夫の死後、年金に相続税がかかる??年金の基礎知識

夫の死後、年金に相続税がかかる??年金の基礎知識

自分は何歳で年金がもらえるのか、いくらもらえるのか、知っているようで知らないのが年金制度だ。会社任せだった人も、あまり関心がなく知識がない人も、何かと気になるのが年金のこと。例えば、夫が亡くなった後、自分の年金はどうなるか?また遺族年金なども相続財産の対象になるか否かなど、具体的なことがよくわからないという人がいる。年金には、公的年金と私的な個人年金の2種がある。それぞれの特徴と、私的年金の相続上の注意点など、今回は基本的なことを解説しよう。

え!?年金に相続税がかかるの??

夫の死後、年金に相続税がかかったという話を耳にしたことがないだろうか? またずっと専業主婦だった妻は、夫の死後年金をもらうことができるのだろうか? そもそも年金とは、定期的、継続的に給付される金銭のことである。受給者が亡くなれば当然、年金はもらえなくなり、相続自体発生することはないはずなのだが・・・・・・。 いったいどういうことなのであろうか? 実は年金の種類によって、遺族にももらえたり、もらえなかったり、相続税がかかるものがあるのだ。今回はそれを見ていくことにする。

年金の種類はいったい何種類ある?

「公的年金」は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入し、2階建て構造になっている。1階部分は、すべての人が共通して加入する基礎的な国民年金。2階部分は会社員や公務員が加入する厚生年金だ。2015年までは公務員は共済年金で、3階部分の職域加算部分というのがあったが、現在は廃止され厚生年金に統合されている。

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2015年10月より共済年金は厚生年金に統合

また、国民年金は第1号から第3号被保険者に分類されており、第1号被保険者は自営業や学生、無職の人などが対象になる。第2号被保険者は社会人や公務員。第3号被保険者は第2号被保険者の被扶養配偶者が対象となっている。加入者には「ねんきん定期便」が送られてくるので、自分がどこに位置し、どんな状況なのか把握できる。 または日本年金機構が運営する「ねんきんネット」でも自身の状況が把握できる https://www.nenkin.go.jp/n_net/

もうひとつは、個人が任意で加入する「私的年金」で、積立型の企業年金や個人年金保険だ。こちらは民間の年金なので多岐多様にある。 公的年金が2階まで私的年金は3階以上と考えると分かりやすいだろう。

公的年金と私的年金の種類

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※印は相続税や贈与税の対象となる

公的年金は非課税だ

「公的年金」の相続は、受給者が亡くなった場合、当月に受け取っていない分は遺族がもらうことになる。税金は相続税ではなく、一時所得として算入する。また公的年金の種類には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」があるが、相続と関係するのは「遺族年金」で、「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」とがある。

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【遺族基礎年金】 被保険者または老齢基礎年金の受給資格がある人が亡くなったとき、その配偶者(子どものいる)と子、または子に支給される年金である。「18歳(障害のある子は20歳)になった歳の最初の3月31日まで支給される。(条件:死亡した者が、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が国民年金加入期間の3分の2以上あること)

【遺族厚生年金】 厚生年金加入者は遺族基礎年金に加えて夫の老齢厚生年金額の3/4が受け取れる制度である。条件は遺族基礎年金と同様だが、受給対象者は、亡くなった人によって生計を維持されていた配偶者、子、孫、祖父母と範囲が広い。

ほかにも「死亡一時金」や「寡婦年金」という制度がある。 死亡一時金とは国民年金の第1号被保険者(自営業など)として、保険料を納めた月数が36月以上ある人が、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けることなく亡くなったときは、その人と生計を同じくしていた遺族(1配偶者2子3父母4孫5祖父母6兄弟姉妹の中で優先順位が高い方)が受けることができる。 また寡婦年金は子どものいない配偶者で一定条件を満たせばもらえる。 これらは夫が亡くなっても、妻が受け取れるケースだ。 これらの遺族年金や死亡一時金は、相続財産になる。しかし公的年金の相続税は非課税である。

私的(個人)年金は相続税や贈与税がかかる

私的年金は保険会社の商品である「個人年金保険」ともいう。任意で加入するため、個人資産とみなされる。年金の受取人が本人であった場合には、遺族が未受給分の受け取り権利を受け継げば当然相続税の対象となる。 これが冒頭で紹介した“年金に相続税がかかる”事例だ。 ちなみに年金保険は負担者や受取人によって税金が違う。受取人が契約者の場合は所得税、 契約者以外の場合は贈与税がかかる。また2年目以降は所得税の対象となる。(下の図参照)

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また「企業年金」も任意の年金であるため、遺族に死亡退職金として支払われた場合は、退職手当年金等とみなされ相続税の対象になるが、500万円×法定相続人の数が非課税となる。 退職手当金等で相続税の対象となるのは、「企業年金の死亡退職金」のほかに「確定拠出年金(DC)の死亡一時金」「小規模企業共済の死亡退職金」「iDeCo(個人型確定拠出年金)の死亡一時金」などがある。

※iDeCo(個人型確定拠出年金) 制度改正により、2017年1月から専業主婦、公務員の方を含め、基本的に60歳未満のすべての方が利用できるようになった個人型確定拠出年金である。税メリットもあり注目されている私的年金。

年金以外でも、しっかり備えを

「公的年金」は税金がかからず、「私的年金」の中で「民間の年金」は税金がかかるということは、理解できただろうか?また夫の死後、年金を妻が受け取れるかどうかは、年金の種類や加入要件によって異なる。亡くなった夫が厚生年金加入者だった場合、こどもがいなかったり、いても18歳を過ぎていると遺族基礎年金の対象にはならない、そのため、受給は遺族厚生年金の3/4のみで、全体の3/4ではないので注意が必要だ。 老後、公的年金だけは不安という人は、私的年金も検討してみてはいかがだろうか。

取材・文/大田和孝純 取材協力・監修/琉子敬仁(りゅうし たかひと)さん 税理士・オハナ税理士事務所 写真/PIXTA

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