2016年12月27日
生命保険での相続対策のメリットは?どんなときに使う?

生命保険での相続対策のメリットは?どんなときに使う?

万一の時に、家族の生活を守ってくれるのが生命保険などの死亡保険金だ。 死亡保険金も相続税の対象にはなるが、一定の非課税額があるほか、 遺産分割での取り扱いが他の財産とは異なるのが大きな特徴。 それらをしっかり理解して活用すれば、有効に利用できる相続対策の一つになる。

相続対策での保険活用には、3つのメリットがある!

1) 保険金は現金で受け取れるため、納税資金や生活資金に役立てられる

被相続人の預貯金などは死亡後にいったん凍結され、家族であっても簡単には引き出せなくなる。口座からの引き出しには、法的に認められた遺言書か、相続人全員による遺産分割協議書、もしくは金融機関が用意する同意書の提出が必要なため、時間がかかることが多い。遺産分割でモメたりしていると、いつまで経ってもお金は引き出せず、家族は生活資金や納税資金にも困ってしまうことがある。

しかし、生命保険会社などの死亡保険金(同種の共済も含む)は、被相続人が亡くなった後、契約時に決めた受取人が必要な書類を取り寄せて手続きすれば、通常は1~2週間で指定口座に振り込まれる。現金で比較的早く受け取れるのは、何といっても大きなメリットだ。

早めに保険金が受け取れれば、家族の生活資金にも充てられるし、相続税がかかる場合は納税資金にまわすこともできる。少額短期保険や共済の一部は、連絡すると数日で振り込まれるケースもあり、葬儀代などにも役立てられる場合がある。

 

2) 非課税額があるので相続税が軽くなり、節税対策としても有効

死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象になるため、相続税の計算では相続財産に加算することが必要だ。しかし、受取人が配偶者や子どもといった相続人の場合には、一定の金額が非課税になり、それを除いた分だけが課税対象になる。

死亡保険金の非課税額は「500万円×法定相続人の数」となっていて、相続人が妻と子ども2人の合計3人なら、1500万円まで非課税になる。受け取る保険金が2000万円なら、1500万円を除いた500万円だけ、相続財産に加えて相続税を計算するという具合だ。

そのため、相続財産の中でも金融資産が多い場合は、一時払いの終身保険などに加入して、預貯金の一部を保険金に替えれば、相続税の節税につながる。

また、死亡保険金は民法では受取人固有の財産になるため、借金が多くて相続放棄をする場合でも、他の財産とは区別して、受け取ることができる。事業などの都合で一時的に借金が多額になるケースなどは、万一に備えて家族に保険金を用意しておくと安心だ。

みなし相続財産とは?

相続や遺贈により取得した財産でなくても、課税の公平性や実質的な経済価値によって、相続で取得したものとみなされ、相続税の対象となる財産のこと。保険会社や共済から受け取る死亡保険金や、勤務先から受け取る死亡退職金などがこれに当たる。

3) 受取人を指定して確実にお金を残せるため、遺産分割や代償金にも便利

死亡保険金は契約時に受取人を指定して加入するため、万一の際に特定の誰かにお金を残したい場合にも役に立つ。お金を残したい人を受取人に指定することで、その人に保険金という現金を確実に渡すことができるのだ。

前に説明したように、死亡保険金はみなし相続財産として相続税の対象にはなるが、これは税法上での話。一方で、遺産分割は民法で定められたルールに従うことが多く、民法では保険金は受取人固有の財産になるため、遺産分割の対象からは除外することができる。

そのため、遺産分割でモメそうな場合などは、保険を活用するのが効果的。例えば、世話になった子どもや経済的に困っている子どもに多めに遺産をあげたいといった場合などだ。

相続財産は実家の不動産と預貯金が少しという場合にも、子どもが2人以上いると遺産を均等に分けられず、モメるケースが少なくない。そのような場合、保険金を代償分割の資金として利用する方法がある。遺産を多く受け取った子どもから、少ない子どもに代償金を支払うことで、均等に近づける方法だ。実家を相続する子どもに保険金を残しておけば、その子は受け取った保険金を代償金として、遺産の少ないきょうだいに渡すことができる。

どんなケースで、保険を活用するのが有効か?

相続税がかかる場合に、保険の非課税額で税負担を軽くする

預貯金や株などの金融資産は、相続税の計算では時価で評価されるため、思いのほか多額の相続税がかかってしまうこともある。そんなケースでは、死亡保険金の非課税額を利用して、相続税を軽くすることを検討してみよう。

例えば、死亡保険金では法定相続人が2人なら1000万円、3人なら1500万円までの保険金が非課税になる。すでに非課税額まで保険に加入していれば話は別だが、そうでなれば新たに一時払いの終身保険などに加入して、非課税額を有効に活用したい。 最近は保険の予定利率が下がっていて、一時払いの保険でも貯蓄性は低くなっているが、預貯金などの一部を保険金に替えるという意味では、あまり貯蓄性にこだわる必要はない。

下の図表1の例では、もともとの遺産総額は同じでも、保険金による非課税額が1000万円加わることで、相続税の総額は190万円も安くなる。これより課税遺産が多く、相続税の税率が高い人ほど、保険金による節税効果は大きくなる。

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均等に遺産を分割できない場合に「代償金」として使う

前に説明したように、不動産のように分割しにくい財産が多く、分けやすい金融資産が少ない場合、現金で受け取れる保険金を相続時の遺産分割に活用するといい。

上の図表1の例では保険に加入後、遺産分割の対象になる財産は家と預金で9000万円になる。これを相続人の子ども2人が均等に分けたい場合、1人当たりの取得額は4500万円だ。仮に長男が家を相続し、次男が預金を相続する場合、預金5000万円のうち2000万円は生命保険に加入し、家を相続する長男を受取人に指定しておくことがポイントだ。

相続発生後、保険金2000万円を受け取った長男は、そのお金から次男に1500万円を代償金として支払えば、次男の取得分は預金3000万円と合わせると4500万円になる。長男は家の6000万円から1500万円を引いた4500万円が相続による取得分で、法定相続分としては均等だ。実際には保険金の500万円が長男の手元に残るが、実家を相続する長男は保有するにも売却するにもコストがかかるため、その手間賃としては妥当なところだろう。 念のため、このような内容を遺言で残しておけば、相続時にモメることも少なくなる。

相続対策で保険を活用する場合の注意点は?

保険を上手に使えば、相続時には節税、納税、遺産分割とさまざまな場面で役立つが、保険は加入時の契約方法によって税金の取り扱いが異なる点は注意が必要だ。

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上の図表の通り、死亡保険金が相続税の対象になるのは、亡くなった人(被相続人)が契約者として保険料を支払い、自分が被保険者、受取人は配偶者や子どもなどの場合だ。受取人が配偶者や子どもなら相続人になるため、非課税額もある。受取人が相続人以外の人、例えば事実婚のパートナーや孫などの場合でも相続税の対象だが、非課税額の適用はない。

また、夫が契約者と受取人になり、妻や子どもを被保険者にして掛けていた保険は、その被保険者が亡くなれば、夫に死亡保険金が支払われ、一時所得として所得税・住民税の対象になる。しかし、契約者である夫が亡くなっても死亡保険金は支払われず、その保険契約自体を家族が引き継ぐことになる。この場合、その保険の解約返戻金相当額が夫の相続財産に加算され、相続税の対象になる。

契約者、被保険者、受取人がすべて異なる場合は、保険金の受取人に贈与税がかかり、税額は一般的に高くなることに注意しよう。

保険料の贈与で節税する手もある

相続対策として贈与税の非課税枠を利用し、親から子へ毎年110万円以内の現金を贈与し、そのお金で子どもが契約者・受取人になり、親を被保険者にして終身保険などに加入する方法もある。この場合、親の死亡後に子どもが受け取る死亡保険金は一時所得となり、下のような計算で所得税・住民税が課税される。

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一時所得は受け取った保険金から支払った保険料と特別控除を差し引き、残った金額の2分の1に課税される。相続財産が多く、子どもの所得税率が低い場合などは、相続税よりも税負担は軽くなることが多い。すでに親が契約者・被保険者の死亡保険があり、それだけで非課税額を使ってしまう場合なども、親からの贈与を利用し、子どもが契約者・受取人になる保険の入り方をすることは相続対策になる。

 

 

取材・文/光田洋子(インタープレス) 写真/PIXTA

 

スーモ相続 編集ディレクター

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