2016年12月27日
相続税対策への影響も?!

相続税対策への影響も?! 2017年度、タワーマンションの課税方法が変わる

平成29年度(2017年度)の税制大綱が2016年12月16日に発表された。 今回は所得税の配偶者控除の見直しに着目されているが、相続に影響がありそうなものもいくつかある。そのひとつが、タワーマンションに関する課税方法。今回の改正で相続税にすぐに影響があるわけではないが、今後、ウォッチしておきたい内容だ。

高層階ほど固定資産税が高くなるように改正

平成29年度(2017年度)の税制改正大綱では住宅税制や相続税に関する改正案がいくつか盛り込まれたが、なかでも注目されるのが居住用超高層建築物、いわゆるタワーマンションに対する課税の見直しだ。

これは高さが60mを超える超高層マンションについて、固定資産税の課税額を住戸の階数に応じて差をつけるというもの。マンションの固定資産税は1棟全体の評価額を定め、そこから算出された税額を専有面積に応じて按分する。そのため専有面積が同じ住戸なら、階数にかかわらずどの住戸も税額は変わらない。

大綱では、税額を按分するときに階数に応じた補正を行い、階数が高いほど税額が高くなるよう改めることが示された。マンション全体の税額はこれまでと変わらないので、低層階は減税、中間階は変わらず、高層階は増税になる。同様の改正は都市計画税と不動産取得税についても実施される。

不動産は相続時に時価より低く評価されやすい

今回の改正は固定資産税などに関するものだが、タワーマンションを活用した相続税対策にも影響がおよぶのではないかとの見方もある。どのように影響するのかは後述するとして、そもそもなぜ不動産が相続税対策に効果が高いといわれるのか、その理由から説明しよう。

相続税は財産の評価額に税率をかけて計算されるので、評価額の大きさが税負担を左右する。ところが評価額は財産の時価とは異なり、財産の種類によって変わるのだ。時価が同じだとすると、金融資産→土地→土地付き建物の順に評価額が下がる傾向がある。

また同じ不動産でも、土地は相続した時点の価値で評価されるが、建物は経年で価値が下がるため、長く持っていると評価額も下がる。さらにマンションは1戸当たりの土地の持分が小さく建物の比重が高いケースが多いので、一戸建てより節税効果が高いとされる。

高層階ほど固定資産税が高くなるように改正

高層階住戸の評価額は時価の3割というケースも

財産の中でも不動産、特にマンションは相続税の評価額が時価より大きく下がるので、現金など金融資産をマンションに変えることで節税効果が得られる。さらにマンションの中でもタワーマンションはとりわけ大きな節税効果があるとされてきた。

というのも、タワーマンションは同じ専有面積の住戸でも、階数によって販売価格に大きな差が出るからだ。特に高層階はプレミアム住戸とされて仕様グレードにも差をつけるケースが少なくない。そのため低層階と高層階とでは、同じ広さで数千万円の差が出る場合もある。

タワーマンションの節税効果が減殺されそう

「今回の税制改正は、タワーマンションを使った『行き過ぎた』節税対策を抑制する意味もありそう」と指摘するのは、税理士法人タクトコンサルティングの遠藤純一氏だ。「区分所有建物であるマンションの相続税の評価額の決め方は、国税庁の裁量で決められています。今回、階数によって固定資産税の税額に差をつける改正がなされることで、相続税の評価額も同様に算出するよう見直される可能性がないとはいえないでしょう」

ちなみに今回の固定資産税の改正は、税額を按分する際に1階の住戸を100とし、階が一つ増すごとに10/39を加えていくというものだ。これにより、階数が高い住戸ほど税額が高くなり、40階の住戸は1階住戸より1割高くなる。

階数が高い住戸ほど税額が高くなり、40階の住戸は1階住戸より1割高くなる

仮に相続税の評価額でも同様の差が付けられるとすると、高層階の住戸は低層階よりも評価額が1割近く高くなることが考えられる。時価の差は1割程度では済まないケースが多いが、それでも高層階住戸の節税効果が多少は抑制されることになるだろう。

相続税の評価の見直しは2017年春ごろ明らかに?

税制改正は2017年の通常国会に法案が提出され、3月末までの成立をめざすが、大綱の内容どおりに決まるのが通例だ。ちなみにタワーマンションの課税見直しは2018年度から新たに課税されるタワーマンションから適用されることになる。その年度の課税の対象になる建物はその年の1月1日時点で建っているものなので、2018年度に新たに課税が開始されるのは、2017年1月2日以降2018年1月1日までに完成したマンションから適用ということだ。

ただし、2017年3月31日以前に売買契約が締結された住戸が1戸でもある場合、そのマンションは適用外となる。つまり2017年1月1日以前に完成したマンションを除き、2017年4月1日以降に新たに販売された物件が対象になるのだ。

税制改正は2017年の通常国会に法案が提出され、3月末までの成立をめざす

では相続税の評価額はいつ見直されるのか。この点について遠藤氏は次のように予測する。「評価額の見直しは国税庁の通達を変更すれば可能なので、見直し案をパブリックコメントに出したうえで改正することになります。通達の改正は通常、7月の路線価発表に合わせて行われるので、あるとすれば早くて2017年の春ごろにパブリックコメントが示される可能性があります」

タワーマンションによる相続税の節税がどの程度まで可能になるのか、気になる人は今後の改正の動きに注意しておこう。

 

取材・文/大森広司(オイコス)  取材協力/タクトコンサルティング  写真/PIXTA

 

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