2017年4月17日
相続する前に知っておきたい。大切な実家を「問題空き家」にしない方法!!

相続する前に知っておきたい。大切な実家を「問題空き家」にしない方法!!

ここ数年、老朽化したまま放置されている空き家が増加し、社会問題となっている。2015年には、こういった倒壊の危険がある空き家に対し、市町村が所有者に修繕や撤去を指導・命令できる「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空家対策特別措置法)が施行された。実家のある40歳代~60歳代にとって、空き家の問題は決して人ごとではない。実家の空き家トラブルを避ける方法について、NPO法人 空家・空地管理センター代表理事の上田 真一さんに伺った。

利用されない「空き家」が増加。2013年には約318万戸に

全国の空き家は年々増加し、2013年には約820万戸に達している。中でも増加が著しいのは、賃貸や売却用でもなく、自己利用もされていない「その他の住宅」で、2003年から10年間で100万戸以上増え、2013年には約318万戸となっている。


こういった「利用されない空き家」が増えているのはなぜか。上田さんは次のように解説する。
「一番の理由は、高齢少子化や人口の都市集中という社会構造によるものです。かつては、二世代、三世代同居の大家族が主流で、親が亡くなった後は長男が家を継ぎ、実家に住むのが普通でした。
しかし、今は子が実家から独立して大都市で仕事をもち、自分の家を買うのが一般的になっています。このため、親が亡くなって実家を相続しても住む必要がなく、空き家のままにしておくケースが増えているのです。現在、団塊の世代が65歳以上となり、高齢者のみの世帯が増えていますが、将来的にはその持ち家も住む人がいなくなり、空き家はさらに増加すると予想されています」

全国の空き家数の推移と内訳(2003年~2013年) ※出典/住宅・土地統計調査(総務省)

将来、実家をどうするか、親が元気なうちに話し合っておこう

将来、実家に誰も住まないなら、親が亡くなったときに、売却や賃貸などの方策をとればいいと考える人も多いだろう。しかし、実家の売却や賃貸について、相続人の間で意見がまとまらないケースも多いそうだ。

「実家をどうするかは、相続の際に兄弟姉妹の間でトラブルになる主な原因の一つです。例えば、きょうだいの1人が『親は、家を処分して金銭を分けてほしいと言っていた』と主張、もう1人は『思い出の多い家だから残してほしいと言っていた』と主張するなど、お互いに親の気持ちを代弁して、なかなか譲れない。また、家に残した遺品の整理にも時間がかかりますし、兄弟姉妹の誰が片付けるかで、さらに衝突することもあります。
このようなトラブルを避け、相続時にスムーズに実家を処分するためには、親が元気なうちに子を集めて、実家をどうするか話し合い、親の意向を子どもたちにはっきり伝えておくのが一番の方法です。親が方向性を示してくれていれば、最終的には親の意向に沿った形で話がまとまると思います。この話し合いには、親と兄弟姉妹全員が集まることが大事。また、子の配偶者や孫は連れて行かないほうがまとまりやすいようです」
また、親から相続した土地や建物の売却や賃貸については、法律上の手続きや経費に関することなど、多方面の専門知識が必要な問題が多い。
「例えば、東京都では空き家対策の一つとして、2016年12月から『空き家のワンストップ相談窓口』を設置しています。ここでは、相続関係の法律や土地活用、建物の解体や実家の荷物の整理など、実家の相続にまつわる多様な相談を無料でできるのが特徴です。また、民間でも、こういった複合的な相談窓口を設ける不動産会社などがあるので、相談してみるといいでしょう」

空き家を長期間放置すると、修繕や撤去を命令されることも

空き家の増加が社会問題として取り上げられることが増えているが、具体的にどんな問題があるのだろうか。
「空き家問題の報道などを見ていると、空き家は全部悪いような印象を受けます。しかし、実家を相続して、『リタイアしたら実家に住もう』とか、『タイミングを見て売りに出そう』などと考え、空き家にしておくこと自体は、決して悪いことではありません。また、実家に1人で暮らす親が介護施設に入居することになり、空き家にせざるを得ないケースもあるでしょう。こういった場合に大事なのは、空き家の管理なのです」

管理をしないまま、長い年月空き家を放置すると、老朽化が進み倒壊の危険性が生じたり、近隣の住環境の低下を招くなどの問題が起こる。こういった管理不全の空き家は、現在3万戸程度存在するといわれている。

「2015年に施行された『空家対策特別措置法』は、適切に管理されていない住宅を市区町村が、『特定空家等』に指定するところから始まります。特定空家等は、固定資産税の軽減措置の対象から外れるなど税制の面で不利になります。さらに、市区町村は特定空家等の所有者に修繕や撤去の指導・勧告・命令を行うことができ、所有者が応じない場合は代執行も可能になります。
同法に関する自治体の取り組みについては、既に調査を終えて特定空家等の指定を行っている自治体がある一方、調査等が進んでいない自治体もあります。しかし将来的には、空き家対策はどの自治体でもより本格化していくと思われます。
なお同法とは別に、現時点で既に400以上の市町村が空き家条例を設けているほか、建築基準法や環境法、道路法などの法律や条例を基に、管理不全な住宅に対して、適切な管理や修繕などの指導を行うケースもあります。また、空き家の管理や除去に補助金を設ける自治体もあります」

空き家管理のポイントを知っておこう

上述した通り、空家対策特別措置法により、空き家の所有者には適切な管理を行う義務が課されることが明確になった。では、空き家の管理とは、具体的にどんなことをするのだろうか。
「空き家の管理の目的は、建物の老朽化や敷地の荒廃を防いで資産価値を維持すること。また、不法侵入や放火などの被害を防ぐ配慮や、近隣に住む人の理解を得ておくことも大切です。具体的には、次の四つのポイントを押さえておきましょう」

まとめ!空き家管理のポイント

1.定期的に現地に行って確認する
・家の周りの掃除(ゴミなど可燃物が散乱していないか確認)、草むしりや木の枝の剪定などをする
・雨どいが詰まっていないか、雨漏りの後などが見られないかを確認する
・家に入ったら、窓を開けて風を通し、湿気を逃がす

2.近所にあいさつに行く
・しばらく空き家にする場合は、隣近所の家にあいさつをして、何かあったときに連絡をしてもらえるよ う、連絡先を伝えておく
・現地に行ったときは、あいさつをして異常などがないか聞いておくとベター

3.定期的に点検・修繕を行う
・家の老朽化を防ぐため、専門会社に定期点検や修繕などを依頼して、予防的な処置をしておきたい。
 空き家の場合、現地に行く回数が少ないため、雨漏りなどがひどくなってから発見することになり、
 多額な修繕費用がかかることもあるからだ。

4.戸締まりはしっかりと
・ドアや窓の雨戸はもちろん、門扉も閉めて施錠しておく
・ポストはガムテープなどでふさいでおき、チラシなどが入らないようにしておく
・可燃物を外に出しておかない

親が住まなくなった後、実家をどう利用するか。相続した時点で話がまとまらず、空き家のまま放置することがないよう、「売却または賃貸にするのか」「空き家として管理をしながら所有するのか」、「誰かが住むのか」、今のうちから親子で検討しておきたい。

 

取材・文/森島薫子(ライター・SUUMO編集スタッフ) 取材協力・監修/上田真一 (空家・空地管理センター) 写真/PIXTA

スーモ相続 編集ディレクター

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