2016年11月22日
相続税が軽くなる!「小規模宅地等の特例」とは?

相続税が軽くなる!「小規模宅地等の特例」とは?

日本では相続財産の半分近くが不動産で、中でも土地の占める割合が最も高い。 持ち家などの土地を所有する人は、相続税のことが心配になるが、 一定の宅地には相続税の評価額がぐんと低くなる「小規模宅地等の特例」がある。 この特例に関する多くの著書をもつ税理士の高橋安志さんに、条件などを聞いてみた。

この特例が使えれば、相続税がかからなくなったり税額が軽くなったりする!

相続税を計算するとき、不動産は家屋と土地に分けてそれぞれ一定の方法で課税価格(評価額)を出し、その金額をもとに相続財産の課税価格を合計して税額を算出する。「小規模宅地等の特例」とは、亡くなった人の親族が相続または遺贈(遺言で贈与されること)によって取得した土地のうち、所定の条件に該当する宅地については、相続税の評価額が低くなる特例のことをいう。具体的には下の[図表1]の3種類の宅地について、条件を満たせばこの特例が受けられる。相続税がかからなくなったり税額が軽くなったりする!そもそも、なぜこのような特例があるかといえば、前に説明したように日本では相続財産のうち、土地の評価額が占める割合が大きいからだ。亡くなった人の配偶者や子どもなどが、それまで一緒に住んでいたり、事業を営んでいたりした土地を、相続税のために手離したりしないで済むように、家族の生活を守るために設けられた制度なのだ。将来、親(被相続人)が所有していた土地を相続したとき、この特例が使えれば、通常なら相続税がかかるケースでも税額がゼロになったり、大幅に軽減できたりする。この特例が使えるかどうかは、将来の相続税を左右する重要なポイントといえるだろう。

特例の対象になる土地は、実際の利用状況で判断される

特例を適用できるかどうかの判定には3つの条件があり、高橋税理士はこれを3つの審査と呼んでいる。一次審査に当たるのが、その宅地を被相続人がどのように使用していたかということ。対象となる宅地は図表の通り3種類あるので、まずはこれから確認しよう。 居住用の宅地は、被相続人が亡くなる直前まで住んでいた家が建っている土地のこと。つまり、マイホームの敷地だ。居住用の宅地は条件に合う人が相続すれば、相続税評価額は330㎡まで80%の減額になる。例えば、評価額が5000万円の土地なら1000万円になるということ。

事業用の宅地は、被相続人が店や工場などの事業を営むために使用していた土地で、貸付用の宅地は被相続人がアパートなどを建てて賃貸経営をしていた土地のこと。居住用と事業用の両方の土地があれば、それぞれ限度面積まで適用でき、合わせて730㎡まで80%の減額になるが、貸付用の宅地は他の宅地と併用する場合、適用可能な限度面積が調整される。

適用できるかどうかは、その土地を「誰が相続するか」による

特例が使えるかどうかの二次審査は、その土地を誰が相続するかということ。最も重要ともいえる相続人に関する条件なので、[図表1]に戻って確認を。例えば、居住用の宅地は配偶者が相続する場合は無条件で適用される。しかし、同居の子どもなどの親族が相続する場合は、申告期限(亡くなった日または亡くなったことを知った日の翌日から10カ月以内)まで保有して居住し続けることが必要だ。配偶者も同居の親族もいない場合、持ち家のない子どもが相続すれば適用可能になるが、その場合も申告期限まで保有し続けることが条件になる。このように相続人が居住または保有継続などの条件を満たすことが三次審査に当たり、これらをすべて満たさないと、特例は適用できないことに注意しよう。

また、生計を一にする親族が、被相続人から無償で借りるなどしていた居住用または事業用、貸付用の宅地を相続した場合も、居住・保有・事業継続などの条件を満たせば、この特例が適用できるので、詳しくは税理士などに確認するといい。

居住用の宅地には、二世帯住宅の敷地も含まれる

二世帯住宅の場合、2014年から特例を適用できる要件が緩和された。現在は建物の内部で行き来ができない完全分離型の二世帯住宅でも、その建物を区分所有登記にしていなければ、敷地全部に特例を受けられる。区分所有登記とは、1つの建物でも所有者を分け、親世帯、子世帯が居住する部分をそれぞれ別々に登記すること。区分所有登記にすると、二世帯住宅に住む子どもがその土地を相続しても、親と同居とはみなされない。なおかつ子どもは自分が所有する家に住んでいるため、特例は使えなくなる。二世帯住宅の場合、2014年から特例を適用できる要件が緩和された

介護施設などに入所していた場合も、特例が適用されやすくなった

親が高齢になり、亡くなったときに有料老人ホームなどに入所していた場合、2014年より前は、親の居住地はホームとされ、自宅の土地は特例の適用を受けられなかった。しかし、2014年からの改正で、介護を受けるために施設や老人ホームに入所し、

  1. 1.亡くなったなったときには介護保険で要介護または要支援の認定を受けていた
  2. 2.住まなくなった家を他人に貸していない

という2つの条件を満たせば、自宅は居住用の宅地として特例の対象になる。被相続人と以前から一緒に同居していた家族が、そのまま自宅に住み続ける場合は特例を使えるが、生計を一にする親族以外の人に貸していた場合は特例が適用されない。

「小規模宅地等の特例」は、相続対策を行う上でも大きなポイントになるが、対象になる宅地と相続する人の条件によって、適用できるかどうかは異なり、適用できる面積も違ってくることがある。判断を間違えると、相続税額も変わってくるため、詳しくは宅地の評価に精通した税理士に相談することが重要だ。

話をうかがった税理士・高橋安志さん/税理士法人安心資産税会計の代表社員。「安心相続相談センター」の理事も務める。相続税・贈与税などの専門税理士として30年以上の実績があり、金融機関や不動産会社、税理士等を対象にした実務的な講演や、新聞・雑誌、テレビ出演などで活躍中。『事例で理解する!小規模宅地特例の活用』などの著書も多数。

取材・文/光田洋子(インタープレス) 取材協力/ 高橋安志    税理士      写真/PIXTA

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