遺言・相続Q&A

相続は不動産やお金などの財産管理、配偶者や親族への贈与など、生前の整理が必要だったり、法律・弁護士に関わるものがあったりと、初心者には理解が難しいものです。そこで、相続について知っておくべき知識をQ&Aでまとめました。

相続の基礎知識

  • 1 相続とは?
    相続とは、亡くなった人の所有していた財産に関する権利や義務を、血縁者などの法定相続人に、移転すること。ここでいう財産とは、現金や預貯金、不動産、有価証券などプラスの資産に加え、借金などの負債や債務も含む。
  • 2 相続税とは?
    相続税とは、亡くなった人から移転された財産に対して、課税される税金。相続税の課税対象には、法定相続人が分与される相続財産だけでなく、法定相続人以外の人が遺言や生前の書面による約束などによって受け取った財産も含む。
  • 3 相続税には一定額の減免額がある?
    相続税には相続財産の総額から差し引ける基礎控除がある。基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人の数となっている。また、配偶者の相続額が配偶者の法定相続分以下の場合、相続税は非課税だ。配偶者の相続額が法定相続分を超えていても、1億6000万円までは課税されない。
  • 3 相続税には一定額の減免額がある?
    相続税には相続財産の総額から差し引ける基礎控除がある。基礎控除額は3000万円+600万円×法定相続人の数となっている。また、配偶者の相続額が配偶者の法定相続分以下の場合、相続税は非課税だ。配偶者の相続額が法定相続分を超えていても、1億6000万円までは課税されない。
  • 4 相続財産にはどんな種類がある?
    相続財産には、プラスの財産、マイナスの財産、みなし相続財産の3種類がある。具体的には現金、預貯金、不動産、売掛金、有価証券などのプラスの財産。買掛金、借金、借入金、未払い税金などの債務や負債のマイナス財産。生命保険、死亡退職金などのみなし財産だ。全てを相続財産として合算し、借金分はマイナス計上される。みなし相続財産には控除があり、生命保険金、死亡退職金等は控除された上で財産総額に加算されるが、支払いが確定された受取人に振り込まれるので、財産を分ける際には注意が必要だ。
  • 5 株や不動産はどのタイミングの価格になる?
    まず、上場株式は、相続時または贈与時の日の終値、当月の終値の平均値、前月の終値の平均値、前々月の終値の平均値を計算し、最も低い金額となるものを評価額として採用する。評価が難しい非上場株式については、別の計算式を用いる。不動産は、「路線価」、または路線価が定められない地域については、固定資産税評価額をもとに、「倍率方式」で算出。家屋は固定資産税評価額と同額となる。
  • 6 未公開株の相続評価はどう計算する?
    未公開株を評価するには、国税庁が作成している「財産評価基本通達」の「取引相場のない株式等の評価明細書」に基づいて評価するのが一般的だ。その際、非上場株式を大会社・中会社・小会社に分け、それぞれに合わせた評価方式を採用。さらに、贈与や相続で取得した株主が、その株式を発行した会社の経営支配力のある同族株主か、またはそれ以外の株主かにより、原則的評価方式と配当還元方式のどちらかを用いて評価額を算出するため、それぞれ評価方式が異なる。
  • 7 住宅の相続評価額はどう計算する?
    住宅の土地は、路線価がある場合は、路線価方式を用いて路線価に面積と補正率を乗じたものを評価額とし、路線価がない場合は、相続開始年または贈与年の固定資産税評価額に国税局庁が定める地域ごとの倍率を乗じたものを評価額とする。また、被相続人の住まいまたは事業用の土地の評価には小規模宅地等の特例といった制度があり、一定の要件を満たす場合に評価額を最大8割減額することが可能だ。建物については、固定資産税評価額がそのまま評価額となる。
  • 8 土地の評価額が8割減になる小規模宅地等の特例とは?
    小規模宅地等の特例とは、亡くなった被相続人の配偶者や、同居している子が330m²以下の自宅の土地や400m²以下の事業用土地など、一定の要件を満たす土地を相続した場合に、最大で相続税評価額を8割減額する特例制度である。土地の相続人が子の場合には、継続利用や同居、別居の場合は相続人が自宅を保有していないことなど、いくつかの要件が規定されている。
    例えば自宅敷地の評価額が5000万円であれば、特例の適用後は2割の1000万円となり大幅に相続財産の評価が下がることになる。その結果として、相続財産が基礎控除の範囲内となり、相続税が発生しないということもある。ちなみに特例を使う場合には、仮に相続税がゼロになっても申告の必要があるので要注意だ。
  • 9 古物の財産評価は?
    骨董品や美術品は、購入時に数十万円程度であれば、家庭用財産として購入時と同程度の金額を評価額に含める。しかし、購入時点で数百万円以上の高額なものは、書画、骨董品という相続財産に分類され、専門家に依頼しその鑑定結果を評価額に含める必要がある。なお評価額は「時価」となる。評価時の相場、作品の種類や内容によってつけられた評価額は、社会情勢や景気の動向等によって変動するものと考えられ、国税庁によるとその道に精通し古物商の登録を受けた美術商、専門家による評価を指している。時価は内容を踏まえ、複数の要素をもとに算出する。
  • 10 生前贈与も相続財産とみなされることがある?
    被相続人が亡くなる3年以内の財産の贈与や、相続時精算課税制度を利用した贈与は、贈与時点での価額が相続財産に加算される。また「暦年贈与」は年間110万円までは贈与税がかからず、何度でも利用できる。しかし贈与する際には注意が必要。同じ金額を一定期間同じタイミングで贈与すると「連年贈与」とみなされ、相続税の対象になることがある。
  • 11 生命保険金が贈与の対象になる場合がある?
    生命保険金は、契約者(保険料支払者)と被保険者、保険金の受取人が全て異なる人物の場合、贈与税となる。契約者と被保険者のみが同じ人物の場合には相続税の対象となり、契約者と保険金の受取人が同じ場合は一時所得または雑所得として課税される。
  • 12 ペットは相続財産?
    販売目的以外で所有するペットには所有権があるので、相続財産である。売買実例価額や専門家が評価した価格を参考に算出すると規定されている。
    また、ペットに自分の財産を相続させることはできるのか?と考えた場合、「負担付遺贈」という方法がある。これは「財産の見返りに、一定の義務を負担してもらう」遺贈を意味する。つまり「財産をあげる代わりに、ペットの世話をしてほしい」という容の遺言書を作成すれば、実質的にペットに財産を残す、と考えることができる。ただし、遺言を拒否される場合もあるにで、事前に意思確認をとったほうがいい。
  • 13 海外の不動産の相続はどうしたらいい?
    海外不動産には国内不動産のように国税庁発表の路線価がないため、現地の不動産会社が算出した市場売買価格や、不動産鑑定士などの専門家による評価額を採用する。原則として、不動産所在地の法にのっとり、現地での納税が必要になる場合があるため、海外で支払った税額のうち一定の金額を、日本での相続税の課税額から控除することができる。海外では相続税よりも遺産分割や相続した資産の名義書き換えに、手間と時間がかかる場合が多い。さらに裁判所の検認「プロベート」という法律上の手続きが必要な国もある。国ごとに細かい手続きは異なり数年かかる場合もある。
  • 14 お墓には相続税はかかる?
    お墓を相続した場合は非課税。相続財産とは異なり、祭祀を行う特定の一人だけが受け継ぐものと考えられるからだ。
    またお墓に関連するものでは、そのほかには、仏壇、仏具、神を祭る道具など日常礼拝をしているものも挙げられるが、骨董的価値があるなど、投資の対象となるものや商品として所有しているものは相続税の対象となる。

  • 相続人・相続分

  • 15 法定相続人とは?
    法定相続人とは民法で定められた、相続を受ける相続人となる権利をもつ人のことを指す。この法定相続人は、まず亡くなった人の配偶者が必ず相続人となる。 次に死亡した人の子ども、その子どもの子や孫、養子や非嫡出子など(以上第1順位)、死亡した人の父母や祖父母などの直系尊属(第2順位)、死亡した人の兄弟姉妹(第3順位)といったように順位が規定されている。遺産分割の割合は協議によって決めることができるが、合意ができなかった場合には、この順位に応じて民法によって定められた法定相続分を基準に、相続財産の割合を考える。
  • 16 必ず法定の相続持ち分の通りに分けなくてはダメ?
    遺産分割は、必ずしも法定の持ち分に従う必要はない。遺言や遺産分割協議によって、任意の持ち分を決められる。法定の持ち分は、相続人間の協議が合意に至らなかった場合に遺産分割の法的な基準となる。例えば、配偶者と子では、配偶者1/2、子1/2 (複数の場合は1/2を人数割り)、配偶者と親は配偶者2/3、親1/3、配偶者と兄弟姉妹は配偶者3/4、兄弟姉妹1/4となる。
  • 17 介護してもらった嫁を相続人にするには?
    嫁は義母や義父の法定相続人には当たらない。現在の民法では、「法定相続人」になれるのは原則、「配偶者」「子」「父母」「兄弟姉妹」の4種類と定められているからだ。そのため、義母や義父が介護などの謝意として、嫁に財産を遺したくても権利はない。ただし、遺言や養子縁組、生前贈与、嫁を受取人とした生命保険などで、事前の対策で嫁にも財産を遺すことができる。
  • 18 前妻の子どもに相続権はあるか?
    離婚後に前妻、前夫のどちらに親権がある場合でも、子は前夫が亡くなったときに、第一順位の法定相続人となるほかの子と同じ割合で遺産を受ける権利がある。しかし、再婚して子が後妻のもとで暮らしている場合に、子は後妻との間には相続の関係はない。そのため、再婚相手である後妻の法定相続人になるためには、養子縁組をする必要がある。
  • 19 養子にいった子どもに実の親の遺産の相続権利はある?
    養子縁組には、普通養子縁組と特別養子縁組の二つがあり、通常の普通養子縁組の場合、養子にいっても、実父母との親子関係は消滅しないため、子は実の両親と義理の両親の双方に対して、遺産の相続権利がある。
    一方特別養子縁組の場合は、養子に対して実親との親族関係を断ち、完全に養親の嫡出子となっているため、実の両親との親子関係が解消されている。そのため実の両親に対して相続の権利はなく、義理の両親に対してのみ相続の権利をもつ。
  • 20 内縁の妻に相続権はあるか?
    婚姻届けを提出していない内縁の夫や妻は、互いの法定相続人にはならない。別姓婚による事実婚でも同様だ。そのため夫の財産を内縁の妻に分与するには、遺言による遺贈や生前贈与、内縁の妻を受取人とした生命保険などの事前対策が必要。ただし賃借権のみは内縁関係でも相続できる。つまり夫名義で借りた賃貸物件を、直ちに出て行く必要がないというものだ。また、夫の法定相続人が、この世に1人もいない場合は(死亡だけでなく、法定相続人が全員、相続放棄をした場合も含む)、相続財産を受け取れる場合がある。これを特別縁故者といい、家庭裁判所に申し立てが認められた場合に受け取れる。
  • 21 別姓婚の場合の相続はどうする? →念のため税
    姓をそろえる婚姻届を出していない事実婚では、お互いの財産の相続権はない。
    遺産を受け取るには、遺言による遺贈や生前贈与、相手を受取人とした生命保険などの方法と特別縁故者として申請する2種類がある。生前なら贈与や生命保険受取人に指定しておく。遺産を相続する場合は、夫婦別姓契約書の作成や、遺言に残しておくことが重要だ。
  • 22 単純承認と限定承認とは?
    単純承認とは、債務などのマイナスの遺産がプラスの遺産を上回る場合でも、全ての財産の相続を承認することをいい、限定承認は、相続財産の中から負債や遺贈を差し引いた上で、財産が残れば相続するという条件付きの相続をいう。遺産がマイナスになった場合は、相続されないため一見有利な方式だが、相続人全員が家庭裁判所に限定承認を申請することなどの条件がある。なお、自身が相続人であると知ったときから3カ月以内に、相続放棄や限定相続の手続きをしなければ、自動的に単純承認となる。
  • 23 遺言書と法定相続割合はどちらが優先される?
    遺言書の指定相続割合が優先される。しかし、民法では一定の相続人が最低限相続できる財産を、「遺留分」として保証しているため、遺言書で遺留分より下回る額しか相続できない場合は、相続人は遺留分を請求できる。
  • 24 借金を相続したくない場合はどうする?
    プラスの財産は相続し、借金などの債務のみの相続を避ける方法はない。しかし、債務がプラスの相続財産を上回り、相続財産全体がマイナスになる場合には、相続放棄や限定承認といった方法を取り、亡くなった人から承継する相続財産の限度で、亡くなった人の借金などの支払いをするという対策をとれば、不利な相続を拒否することができる。
  • 25 遺言書の形式に決まりはある?
    特に決まりはないが、遺言の種類により法定事項や作成・開封方法などに違いがあり、守られていない場合は無効になってしまう恐れがある。一般的な普通方式遺言には自筆証書遺言、 公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類がある。内容、日付、氏名、捺印など必ず記載しなければならない項目や作成方法など、それぞれについて規定がある。公証人が関与して作成したものは、手数料などの費用が発生するが、遺言の存在を明確にすることができ、遺言書の紛失、改ざんなどを避けられる。また相続人や遺族が、遺言を家庭裁判所に持ち込む必要がなく手続きが簡単。
  • 26 遺留分とは?
    相続を受ける権利をもつ相続人が、受け取ることができる最低限の財産の割合。たとえ「特定の人物に全財産を相続する」と遺言があっても、相続人は相続の開始および、遺留分侵害の事実を知ったときから1年以内など規定の期間に請求をすることで、遺留分の相続財産を受け取れる。また遺留分として請求できる割合は、相続人により割合が異なり、配偶者のみ、子どものみでは1/2。配偶者と子どもでは1/4ずつ、配偶者と親(直系尊属)では2/6と1/6で、親のみは1/3となる。
  • 27 隠し子に相続権はあるか?
    相続権の有無は、故人が認知していたかどうかによる。父親が隠し子を認知し、父親と婚姻関係のない相手との間に生まれた非嫡出子の場合、隠し子も相続人となる。その場合、婚姻関係のある相手との間に生まれた嫡出子と、同様の法定相続分が認められる。また、非摘出子を養子縁組し嫡出子とした場合も同じである。
    認知していなくても、遺言書などに記載があった場合は、相続人として認められることがあり、この場合の相続分は遺言によって定められる。
  • 28 相続人がいない場合の財産はどうなる?
    相続の放棄、相続人が亡くなっている、また相続の資格を失っているなどの理由で相続人不存在の場合、まず被相続人に対して債権をもつ利害関係者や、法定相続人ではないが、内縁の妻といった特別に親密な関係をもっていた人などが、家庭裁判所に相続財産の分与を請求することができる。その場合、まず債権者への弁済が優先され、次に残った財産を、特定縁故者と認められた内縁の妻などへ相続される。特定縁故者が現れなかった場合、最後は国庫に帰属することになる。
  • 29 指定代理請求人とは?
    指定代理請求人とは、保険金などの受取人が保険金などを請求できない特別な事情がある場合に、あらかじめ指定された受取人の代理人のことで、受取人に代わって保険金などを請求することができる。ただし、指定代理請求人制度が利用できるのは、受取人が意思表示をできないなどの特別な場合に限られ、また、指定代理請求人として指定できる身分関係の範囲は、保険会社によって定められている。

  • 遺産分割

  • 30 法定相続分と異なる分割はできるか?
    共同相続人の全員の同意があれば、法定相続分と異なる遺産の分割は可能だ。遺言による相続分の指定がある場合は、遺言の指定相続分が法定相続分より優先される。さらに遺言がある場合でも、相続人全員の同意があれば、遺言や法定相続分のいずれの持ち分とも異なる割合で、分割をすることが可能だ。被相続人が遺言書を残さず死亡した場合、相続人の間で遺産分割協議を行う。その際、相続人の間で遺産分割協議が成立しない場合には、家庭裁判所に申し出、遺産分割(調停・審判)の請求をすることができる。民法上では相続人全員の同意があれば、法定相続分と異なっても問題はない。
  • 31 未成年の子どもは単独で遺産分割協議をすることができるか?
    未成年者であっても相続はできるが、未成年者は単独で法律行為をすることができないため、遺産分割協議をすることができない。このため一般的には親権者が代理人となり手続きを進める。しかし、親権者自身も子と同時に相続人となっている場合や、親権者の2 人目の子も未成年者で相続人であり、複数の相続権がある場合は、親権者と子の利益が対立する可能性があるので(利益相反行為)、相続の公平性を保つため、親権者であっても法定代理人になれない。その場合、法定代理人が好き勝手できないよう監視役として利害関係がなく相続人でない第三者を、「特別代理人」として選任する必要がある。
  • 32 行方不明の相続人がいる場合の話し合いはどうするのか?
    遺産の分け方を話し合う「遺産分割協議」では行方不明で連絡がつかない法定相続人を含む相続人全員が参加し、全員の協議内容への合意が必要。まず家庭裁判所に「不在者財産管理人(行方不明者の代わりに財産を管理する者)の選任」を請求する。不在者財産管理人は、相続人の中に1年程度以上行方不明者がいる場合に選任でき、相続人とは利害関係のない親族を「不在者財産管理人」の候補者として家庭裁判所に請求する場合が多い。候補者がいない場合は、家庭裁判所が弁護士などの専門家を選任する。
  • 33 代襲相続とは?
    代襲相続とは、相続に関する不法行為等によって法定相続人となる者が、相続欠格または相続排除となっている場合や、相続開始前に死亡していて、相続人になることができない場合に、その子どもたちや孫が相続人となることだ。また、卑属(被相続人の子)も相続人となれない場合、さらにその卑属(被相続人の孫)へと再代襲されることとなる(卑属の配偶者は代襲できない)。代襲者となる卑属が複数いる場合、その代襲者の間で代襲した相続分を均等に分割する。
  • 34 受取人が指定されている生命保険も相続人で均等に分ける?
    受取人が特定の人に指定されている生命保険は、相続財産には当たらないため、遺産分割の対象外。しかし、死亡保険金が他の相続人の相続分と比較して、著しく高額の場合「特別受益の持戻し」として相続財産に加算される場合がある。その場合、死亡保険金受取人の相続分から死亡保険金の額を差し引いて遺産が分割されることになるが、被相続人が遺言によって、死亡保険金を特別受益として考慮しないよう指定することも可能である。また死亡保険金は、税法上のみなし相続財産となるので、遺産分割時に除外された場合であっても、相続税の計算時には相続財産に加算される。
  • 35 凍結された故人の預金口座からお金を引き出せる?
    死亡届が出されて、死亡者の銀行口座が凍結された後に、医療機関から治療費や入院費など多額の支払いの請求があり、凍結した口座からお金を下ろさなくてはならない場合、「払い出し」という手続きをすることで、凍結後も現金を引き出すことができる。 しかし、払い出しには被相続人(故人)の戸籍謄本、相続人全員の同意書や戸籍謄本、印鑑証明などの書類も必要で、手間がかかるため、凍結前に必要額は引き出しておきたい。
  • 36 遺産分割協議書は作らなくてはダメ?
    相続人の間で話し合い、合意が得られていれば、遺産分割協議書は作成しなくても問題ない。もっとも、各相続人の持ち分を明確にし、後のトラブルを防止するためには,協議書を作成することが望ましい。また、不動産や車両等の、登録変更手続きの際には、遺産分割協議書が必要となる。相続税は、法定相続分をもとに計算されるので申告できる。実際に遺産分割協議が整わないまま、相続税申告をすることも可能である。その場合は、未分割となるため(※)、小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減といった特例を適用できなくなる。
    ※3年以内に分割された場合や、3年を超えても未分割であることについて、やむを得ない事情がある場合には、相続税の申告時に「分割見込書」や「承認申請書」を提出うすれば後日適応可能だ。
  • 37 遺産分割協議書はどのように作成するのか?
    遺産分割協議書を作成する際の最初にすべきことは、相続人の確定。被相続人の、生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を、市町村郡の役所から取り寄せ相続人を確定。次に相続財産を確定する。不動産は登記簿謄本、銀行などの預貯金は通帳や残高証明書、必要に応じて法務局や銀行へ書類を請求し相続財産を確定する。遺産分割協議には、相続人全員が参加しなければ無効になり、納得できない相続人が1人でもいれば、遺産分割が実行できない。決定内容を遺産分割協議書として作成し、相続人全員が署名、捺印の上、証拠として各自1通ずつ保管することとなる。

  • 調停・審理・訴訟

  • 38 遺産分割でもめたときは誰に相談するのがいいのか?
    弁護士、税理士など、相続に詳しい専門家に相談するのがよい。
    相続税の申告や財産評価、節税対策、生前贈与、贈与税のサポート、財産調査などは税理士へ相談。もめる可能性がある、遺言に不満がある、遺産分割の調停などは弁護士に相談するのがよいだろう。また、遺産分割の方法と順番は理解しておく必要がある。
    • 指定分割:被相続人が遺言書で詳しく決めている場合。遺言書のとおり実行。
    • 協議分割:話し合いで遺産分けを決める。
    • 調停分割:家庭裁判所で話し合いを行う。調停委員に仲介してもらい実行。
    • 審判分割:家庭裁判所の裁判官に裁判で、決めてもらう遺産分割。
  • 39 遺産分割に関する弁護士費用はどのぐらい?
    家庭裁判所への提出書類作成は、司法書士が作成し、15万円〜20万円が一般的だが、相談内容によって価格が変わる。
    弁護士費用は事件に着手する前に支払う「着手金」と事件解決後に支払う「報酬金」がある。弁護士費用は各法律事務所により異なる。以下の参考金額は日弁連による旧報酬基準に基づくものである。
    • 分割相談/30分ごとに5000円で、30分経過するごとに5000円以下、3000万円超3億円以下の例となる。
    • 着手金/300万円超3000万円以下 経済的利益の5%相当額+9万円
    • 報酬金/300万円超3000万円以下 経済的利益の10%相当額+18万円
    • 着手金/3000万円超3億円以下 経済的利益の3%相当額+69万円
    • 報酬金/300万円超3000万円以下  経済的利益の6%相当額+138万円
    また、その他費用として、交通費、郵便代、裁判印紙代などの実費や、裁判所への出頭などは半日の場合は3万円から5万円、1日の場合は5万円から1万円の日当、強制執行を行う場合 1回につき,10万円
    ※全て税別
  • 40 遺産分割の調停申し立てに必要な書類は?
    遺産分割調停または審判の申し立てを行う場合は,申立書(当事者等目録や遺産目録,相続人関係図等),収入印紙及び郵便切手のほかに,申立人と相手方全員の戸籍謄本及び住民票や遺産内容を示す資料(不動産登記事項全部証明書・固定資産評価証明書・通帳のコピー等)などが必要だ。
  • 41 弁護士に遺産分割協議を依頼した場合の流れは?
    一般的な流れは以下であるが、個別にさまざまな状況が変わってくることを理解する必要がある。
    • 1)遺産分割の法律相談・依頼 2)相続人・相続財産・遺言の調査
    • 3)遺産確定の訴え(遺産を確定させるための訴訟手続き) 4)遺産分割の通知 
    • 5) 遺産分割の協議の代理交渉(裁判外での話し合い)
    • 6)遺産分割協議書の作成
    • 遺産分割協議ができず、調停になる場合の流れ。
    • 7)遺産分割調停申立書の作成 8) 遺産分割の申し立て 9) 遺産分割の調停
    • 10)調停不成立の場合、遺産分割審判の申し立て、移行 11)遺産分割の審判 12)遺産分割審判の確定・不服申立て


  • 相続申告

  • 42 相続の申告に期限はある?
    相続税の申告と納税期限は、相続開始の事実を知った日の翌日から10カ月だ。これを過ぎると、無申告加算税、延滞税などが加算される。
    また、一定のやむを得ない理由がある場合は、申告期限まで残り1カ月以内の期間に、延長の手続きをすれば、最大2カ月の延長が可能になる。例えば相続人の欠格や新しい遺言の発見により、相続人の構成や相続分に急な変更があったことなどが該当する。
  • 43 相続税が払えない場合は待ってもらえるのか?
    原則として、相続税の支払いを待ってもらうことはできない。相続税の支払いが困難な場合は、相続税を分割して支払うことのできる延納、現金以外の国内財産によって納税する物納、非上場株式等納税猶予、農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予等の制度の活用等の選択肢がある。物納では公債、不動産、船舶、社債、株式、投資信託の受益証券等によって、納税をすることが可能だ。規定された物納順位の高い財産から順に選択し、物納に充てる必要がある。
  • 44 相続税は分割して支払えるか?
    相続税の納税額が10万円を超え、一括納付が困難な事情がある場合には、「延納」 によって分割して相続税を支払うことが可能だ。その際、延納申請書などの必要書類を期限までに税務署長に提出し、認められた場合最長20年間で分割して支払うことが可能だ。ただし、延納期間中は延納税額に利子税がかかる。また延納税額が100万円を超える場合は、 担保の提供が必要だ。また、相続財産に占める不動産の割合等によって、延納期間の上限や、延納期間に生じる利子税の税率が定められている。
  • 45 不動産はなんでも物納できる?
    不動産が「管理処分不適格財産」に該当する場合は、物納に用いることはできない。「管理処分不適格財産」とは、抵当権が設定されている、権利に争いがある、耐用年数を超過している、借地権を有する者がいるがその人物が不明である、暴対法に規定する暴力団員が権利を有している等、国による管理や処分が困難で、物納に充てることができない財産のことだ。また、地上権や工作目的の賃借権が設定されている、維持管理に特別な技能を要する、市街化区域以外にある等の「物納劣後財産」に該当する場合は、ほかに物納に充てる財産がない場合を除き、その不動産を物納に用いることはできない。不動産で物納する場合は、何かしらの制限の有無を確認しなくては、物納は難しい。
  • 46 海外に住んでいる場合の相続手続きは?
    海外に在住の相続人には、サイン証明と在留証明書が必要となる。
    遺産分割協議書へは、相続人全員が署名と実印による押印をし、印鑑証明書を添付しなくてはならない。ここで必要となるのが、サイン証明だ。海外在住者は印鑑証明がないため、現地の日本領事館に出向き、印鑑証明の代わりとなる「サイン証明」を発行してもらうのだ。サイン証明は、作成した遺産分割協議書を領事館に持参し、係官の前でサインをすれば発行される。また、海外に居住し日本に住民票がない場合や、住民票があっても海外在住を証明するためには、「在留証明書」の取得が必要だ。これもサイン証明書と同様、現地の日本領事館で発行してもらうので、同時に申請するのがよいだろう。
  • 47 申告期限までに遺産分割できなかった場合の相続税はどうなる?
    相続税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内に、被相続人の住所の所轄税務署に申告し納税しなければならない。申告期限内に遺産分割できない場合は、相続税の特例の適用(小規模宅地等の特例、相続税の配偶者の税額軽減の適用、物納など)を受けられないので注意が必要だ。しかし相続税の申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し提出するか、「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を所轄の税務署長に提出して承認を受けることで、分割後に減額の校正請求ができる。
  • 48 相続税は非課税でも申告は必要?
    相続財産が基礎控除以下の場合、申告の必要はない。
    相続税の基礎控除は「3000万円+600万円×法定相続人の数」であるから、例えば法定相続人が妻・子ども2人の場合は、基礎控除は4800万円となる。つまり、相続財産が4800万円を超えなければ、相続税がかからないので申告の必要はない。
    ただし、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の評価減の特例制度を利用する場合、相続税はかからなくても申告の必要がある。
  • 49 相続税の申告書類はどんなものが必要か?
    全ての人に必要なのは、相続人全員の戸籍謄本(相続開始の日から10日を経過した日以後に作成されたもの)、遺言書の写しまたは遺産分割協議書の写し、相続人全員の印鑑証明書 (遺産分割協議書に押印したもの)。ケースによってさらに追加書類が必要になる。例えば、相続時精算課税制度を利用している場合は、被相続人と制度利用者の戸籍の附票の写し(相続開始の日以後に作成されたもの)、配偶者の税額軽減の適用を受ける場合と小規模宅地などの特例を利用する場合は、申告期限後3年以内の分割見込書(申告期限内に分割ができない場合)が必要。
  • 50 税理士に相続申告依頼をすると費用はどのぐらい?
    相続税申告で税理士に支払う報酬は、税理士ごとに算出の基準が全く異なっている。相続財産額に対して一定の比率を報酬とする場合、相続財産額に応じて固定の報酬を設定している場合、段階的に報酬が高くなる場合などがある。さらに、不動産の所有件数によって報酬が加算される場合もあるので一概に言えないが、おおよその費用は財産総額の0.5%〜1.5%と考えていいだろう。
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